相続、遺産分割、遺贈、遺留分減殺等による所有権移転登記(不動産の名義変更):不動産登記.jp(宮城県仙台市のHigh Field司法書士法人)

相続による所有権移転登記(相続登記)

不動産の所有者が死亡した場合、当該不動産は民法の規定によって一定の親族に相続されます。

不動産を相続した者は、自分が当該不動産を相続した旨を公示するために登記名義変更(所有権移転登記)を申請します。

相続による所有権移転登記(相続登記)は必須?

不動産を相続したとしても、相続を原因とする所有権移転登記を必ずしも申請する必要はありません。

相続による所有権移転登記を申請せずに名義を故人のままにしておいても、法律上は当該不動産の所有権は相続人に移転しているのです。

ただし、相続による所有権移転登記未了のうちに相続人が死亡した場合、その相続人の配偶者や子供が不動産を相続することとなりますので、当初よりも相続関係が複雑になります。

相続関係が複雑になれば、相続による所有権移転登記のための手続も複雑化します。

相続登記をしないで放置しているうちに相続人が何十人にも増えてしまい、遺産分割協議がまとまらず、結局相続登記を諦めてしまったというのはよく聞く話です。

そうなってしまうと、もはや当該不動産を売却したり担保に入れてお金を借りたりすることは絶望的ですので、現実には不動産が無価値になってしまうと言っても過言ではありません。

また、仮に何十人かの相続人全員の協力を得ることができ、相続登記を完了できたとしても、登記の報酬は非常に高額になってしまうでしょう。

以上より、相続登記は必須ではないにしても、早く済ませておく必要があることがお分かりいただけると思います。

相続による所有権移転登記(相続登記)の必要書類

相続登記を申請する際には、次のような書類が必要となります。

被相続人の戸籍・改製原戸籍・除籍の謄本
相続人の範囲を確定するため、被相続人が出生して入籍した戸籍から死亡して除籍されるまでの全てのものが必要になります。
なお、有効な遺言書が存在する場合には、被相続人の死亡の記載がある戸籍のみを添付すれば足ります。
被相続人の住民票の除票もしくは戸籍の附票
登記簿上の住所と被相続人の死亡時の住所が異なる場合、住所が移転したことを証する書面が必要になります。
相続人の戸籍抄本(謄本でも可)
被相続人の死亡時に相続人が存命していたことを示すため、相続人の戸籍抄本を添付します。
相続関係説明図
相続関係を一覧にした説明図を提出することにより、相続登記に添付した戸籍一式の還付を受けることができます。実務上は必ず添付します。
遺言書(公正証書遺言以外には検認が必要)
不動産の相続分について指定した遺言書がある場合には、これを添付しなければなりません。
遺産分割協議書及び相続人の印鑑証明書
法定相続分と異なる割合で不動産を相続させる場合には、遺産分割協議を行なわなければなりません。
協議の結果を遺産分割協議書にまとめて、相続人の印鑑証明書とともに添付する必要があります。
特別受益証明書及び印鑑証明書
相続人の中に特別受益を受けた者がいる場合、その者が作成した特別受益証明書及び印鑑証明書を添付します。
相続放棄申述受理証明書
相続人の中に相続放棄の申述を行なった者がいる場合、その者の相続放棄受理申述が受理されたことの証明書を添付します。
上記の他の相続関連書面
上記の他、事案に応じて遺言執行者の選任審判書、不在者財産管理人の選任審判書、相続廃除の記載がある戸籍謄本、遺留分減殺を行なった証明書などが必要になる場合があります。
相続人の住民票
不動産を取得した相続人の住民票が必要です。
登記委任状
相続登記を司法書士などに委任する場合、登記委任状が必要です。
固定資産評価証明書
相続登記においては不動産の評価額に応じた登録免許税が必要ですので、計算の資料として固定資産の評価証明書を添付します。

相続登記にかかる登録免許税

相続による所有権移転登記においては、不動産の固定資産評価額×1,000分の4(0.4%)の登録免許税が必要であり、登記申請の際に納付しなければなりません。

なお、司法書士に相続登記を依頼する場合には、別途報酬が必要になります。

司法書士に依頼した場合の登記費用

相続に関連する所有権移転登記

相続による所有権移転登記の登記原因は基本的には「平成○○年○○月○○日相続」となりますが、事案によっては「相続」以外を登記原因とすることがあります。

遺産分割による所有権移転登記
先に法定相続分による相続登記を終えた後、登記した持分と異なる割合で遺産分割協議が整った場合には、「平成○○年○○月○○日遺産分割」を原因として所有権移転登記を申請します。
遺贈による所有権移転登記
遺言書の中で「遺贈する」という文言が用いられている場合、「遺贈」を原因とした所有権移転登記を行ないますが、事案によっては「相続」を原因としなければならない場合もあります。
遺留分減殺による所有権移転登記
遺留分を侵害する相続分指定や遺贈が行なわれた場合、遺留分減殺請求が可能です。
相続や遺贈を原因とした所有権移転登記が完了した後に遺留分減殺の意思表示を行なった場合には、遺留分減殺を原因とした所有権移転登記を申請します。

登記以外の相続関連手続

相続登記の前提として、家庭裁判所での次のような手続を行なう必要があるケースも珍しくありません。

  • 相続放棄受理申述
  • 遺言書の検認
  • 遺言執行者の選任
  • 不在者財産管理人の選任
  • 相続財産管理人の選任
  • 特別代理人の選任
  • 寄与分・特別受益の確定(遺産分割協議の審判)
  • 遺留分減殺請求訴訟

上記のような裁判手続も司法書士業務に含まれますので、お気軽にお問い合わせください。

相続税がかかる?

相続登記のご相談を受けていると、相続税の心配をされている方が非常に多いことに気付きます。

相続税の算定を行なう際には5,000万円の基礎控除がありますし、法定相続人の数×1,000万円の控除もありますので、遺産の額がこれらの控除額の合計に満たない場合には相続税が課されません。

したがいまして、相続税を納める必要の事例は、実はそんなに多くありません。

なお、控除額を若干下回るくらいの遺産がある場合、遺産の評価方法によっては相続税が発生することもありますので、詳しくは税理士や税務署に相談されたほうが良いでしょう。